J-REIT再考

J-REITリターンの分析
この三菱UFJ信託のレポートによると、J-REITのリターンを他資産で回帰分析すると、係数は  

  係数 P値
TOPIX 0.77 0.00
NOMURA=BPI 1.86 0.01
都心オフィス平均募集賃料 -0.28 0.57

 とのこと。募集賃料はP値も低いのであまり参考にならない。結局債券・株に正の相関ということになる。このレポートは日銀の異次元緩和前のデータ(2003年~2012年)のデータに基づいているが、その後もこの傾向が大きく変わっているということは無いだろう。(むしろ、金融緩和のない世界でもJ-REITは景気敏感な株の要素と固定賃料からなる債券的な要素を両方含む投資ということが言える。)2007~2008年の信用不安期も株と同様に下げ基調、2008年の底打ちの時期も概ね同じ。

 

COVID19の影響は?
ホテルの悪影響は大きく、即時に収益に出ていると思われる。J-REITの保有資産の8%程度がホテルとのこと。その他のオフィス系REITは影響の大きさを確認するのは少し時間が掛かりそうだ。企業収益の鈍化→賃料の減額とキャッシュフロー的にもタイムラグが有るのに加えて、不動産の時価評価も頻繁には行われない。


短期的には日銀の買い以外、あまり良いニュースは無い。日銀が保有比率5%を超えるREITも多くなってきていると聞くし、日銀の金融政策のさじ加減で相場が大きく揺れてしまう可能性も高い。株ETFに先んじて、REITから購入額調整してくる可能性もあるし。
当分ちょっと厳しいかな。

 

J-REIT関連のデータはここが便利。

アセットマネジメントOneの資料は情報量多め。これこれ